英語の躓き解決法(4)
ずいぶん間があいてしまいました。
英語の躓き解決法と題したのですから
しっかり解決法を示さないといけません。
責任を果たしましょう。
最初に書いた文章で、さる受験生の場合を示して、英語の躓き第一に主語と動詞ないし述語の区別ができない。というのを上げました。
ここでは真逆の例を挙げてみましょう。真逆というのは、「主語も述語もわからないのに英語は理解している」という事例です。
これは中国からのある留学生の場合でした。
大学院修士課程を受験したいというので、英語を教えました。
ですが、英語はとても流暢で、内容もしっかり理解できているようなのですね。
英語によるコミュニケーションには問題なさそうです。
大学院の入試科目は、「外国語」「小論文」ですから、
入試用の英語、つまり長文の読解和訳などを問われます。
長文を読ませて訳させてみますと、
まるでなにが書いてあるのかわからない。細部が正確に読み取れない。
英語を流暢に話せるのにこのわからなさは、いったい何なのだろう。
この留学生の頭の中には何が起きているのだろう。
英文を日本語に訳すというのは、彼女(香港から来ていた30歳ほどになる女性でした)にとって死の苦しみだったようですね。
主語は「は」とか「が」だよ、といっても、どこからどこまでが「は」になるのかわからない。主語はやめて subject と、彼女が習ったであろうEnglish Grammar で置き換えてみてもだめでした。
つまり、彼女には「主語+(修飾語)+述語」の日本語文型に置き換えるのが
至難のことだったのですね。ほんとうに口惜しいのか情けないのか困り果てていたのか、しきりに涙をぬぐっていました。
だのに日常的には英語も日本語もほとんど苦労なく、生活言語として使って生活できていた、というわけです。
どうしても、英語を日本語に変換できない。大学院に進みたいという気持ちなどもたなければよかったのですが、入試問題ではこれは避けて通れない。
どうも「英語の躓き解決」の話になってきませんが、あえて強引に結びつけてしまうと、英語と日本語の文法構造が基本的にちがうのだ、ということを彼女は意識していない。逆に言うと、第1話でお話しした受験生にもそれがわかっていない。だから目的語を逆転、主語にしてしまって、目的を「・・・は」と訳してしまっていた。ということではないでしょうか。
上にあげた留学生の場合には、もっといろいろな問題がありそうです。
英語と中国語は文法構造が似ている、だから彼女らには英語のほうがなじみやすい、とか、ですね。(続)